運転時認知障害とは、日本認知症予防学会理事長でNPO法人高齢者安全運転支援研究会理事でもある浦上克哉鳥取大学医学部教授が主導し、NPO法人高齢者安全運転支援研究会が提唱する新しい概念です。

    自動車の運転の基本は「認知、判断、操作」と言われ、様々な情報を瞬時に脳で処理し、運転動作につなげる高度な作業の連続です。情報を処理(認知、判断)する脳に認知機能障害などにより軽微な支障が生じると、運転動作への影響が生じる可能性があります。
    軽度な認知機能の障害はやがて「認知症」へと移行する恐れがあるとして、「軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)」と呼ばれています。このMCIの段階で認知機能の低下を発見し、何らかの対策を施せば認知症への移行が防止できると考えられています。

    本会ではこの軽微な認知機能障害による運転動作への影響を「運転時認知障害」として、認知機能の低下を早期に発見できるきっかけにしたいと考えています。
    運転時認知障害をMCIの一形態と定義し、高度な作業を要する自動車運転だからこそ現れやすい事象を見出すことで、認知症を予防し運転を末永く担保する仕組みづくりへつなげて参ります。

 

      【運転時認知障害提唱の目的】

      1. 運転の現場において軽度認知障害(MCI)を早期発見し、認知症予防につなげる
      2. 危険な運転につながる種類の認知症症状を早期発見し、事故を未然に防ぐ

 

      【運転時認知障害の定義】
      運転時に発現しやすい軽度認知障害起因の事象を「運転時認知障害」とする

      1. 「軽度認知障害」の一部で、まだ「病気」ではない
      2. 運転に必要な「認知」「判断」「操作」のすべてあるいはいずれかに、軽度認知障害に起因する軽度な支障が発現(交通事故リスクの増加)
      3. そのまま放置すると「認知症」に移行する可能性が高い
      4. ただ、この時点で何らかの介入により現状を維持、あるいは軽快が可能
      5. 早期発見による障害の自己認識が運転継続可否の重大な岐路
      6. 年齢に関係なく発現
      7. 継続的観察により認知症への移行を監視可能

 

      【運転時認知障害早期発見チェックリスト30】
      自動車の運転は、視力、聴力、認知力、判断力、反射神経、筋力などさまざまな能力を同時に必要とする複雑な作業です。加齢とともにこれらの能力は自然と衰え、運転の技術も低下します。
      しかし、安全運転に気をつけていても、ハンドルやペダル、機器の操作にうっかりミスが増えたり、行きつけの場所への道順を忘れてしまったりすることなどが立て続けに起こるようになると、MCIや認知症も考えられます。
      MCIや認知症の早期発見のきっかけとなる、車の運転時に現れやすい状態を30項目リストを作成しました。