日本認知症予防学会学術集会  研究発表

    第5回 日本認知症予防学会学術集会で論文発表を行いました

      当研究会理事浦上克哉鳥取大学医学部教授が理事長を務める「日本認知症予防学会」の第5回学術集会が、9月25日~27日に兵庫県神戸市の神戸国際会議場で開催されました。学術集会では自動車運転と認知症の関連性をテーマとしたセッションにおいて、当研究会及び会員から4題の研究発表が行われました。早い段階から意識を持ってもらうことの有効性について、学術総会参加者に強く実感していただきました。

      発表の概要

      「認知機能低下と運転免許制度についての世論調査」
      JAFMATE編集長 鳥塚俊洋氏

      道路交通法の改正が国会で承認され認知機能検査の大幅な強化、また逆走時などの特有な事象にも認知機能検査を実施することが計画される予定です。しかし認知機能の低下と事故の実態の関係性については十分な調査・研究がなされているとは言えず、認知機能が低下したドライバーについての課題が提起されました。

      発表資料はこちらから

      「高齢者安全運転講習会を通じた認知症予防への取り組み」
      ~地域における自動車教習所の役割~

      八尾自動車教習所 浅田克子氏

      大阪八尾教習所で実施された高齢者向け安全運転講習において、参加者へMSP(認知症スクリーニングテスト:物忘れ相談プログラム)を利用して参加者の認知機能と運転の状況との相互関係を把握する取り組みが紹介されました。高齢者へのより適切な運転教習へ向けて同様の講習会を継続して実施したい旨の意向が紹介されました。

      発表資料はこちらから

      「改正道路交通法と高齢者の自動車運転の啓発活動」
      NPO法人 高齢者安全運転支援研究会事務局 平塚雅之

      65歳以上の高齢者の交通事故死者数は高い水準で推移し、今後も厳しい状況が続くことが予想されている現状が紹介された。高齢者本人だけでなく家族を含めて認知能力の劣化に対して意識を向ける重要性とその啓発が紹介されました。

      発表資料はこちらから

      「“運転時認知障害”の概念構築と早期発見の重要性」
      NPO法人 高齢者安全運転支援研究会事務局 中村拓司

      高齢運転者の事故の現状、車線逆走の実態と認知症との関係の現状が紹介され、認知機能の劣化が運転時の行動に現
      れやすいことから新たな概念として「運転時認知障害」が紹介された。「運転時認知障害」の定義として、軽度認知障害でまだ認知症ではない、運転に必要な認知・判断・操作のいずれかに軽度な支障が生じる、放置すると“認知症”に移行する危険性が高い、介入により現状を維持あるいは軽快が可能、などの条件が紹介された。「運転時認知障害」の視点から運転行動を捉えることで、認知症やMCI(軽度認知障害)の兆候を把握できる可能性が高まり、適切な対応によって認知症予防、より永く運転を続けることが期待されることが紹介されました。

      発表資料はこちらから