本研究会設立の背景
高齢ドライバーの増加
運転免許保有者総数は概ね横ばいの傾向にある中、高齢者(65歳以上)の運転免許保有者は過去10年間で約500万人増加し、平成25年度では1,534万人となり、今後も増加の傾向は続くものと予測されています。
交通事故の総発生件数は近年減少の傾向となっていますが、高齢運転者による交通事故件数は増加の傾向が続いています。
運転と認知症
運転免許を持つ65歳以上の高齢者は2013年末で1500万人を超え、免許証保有者全体の15%以上を占めています。このうち認知症の人が実際どれほどいるのか明らかではないのですが、警察庁は厚生労働省による年代別患者数の調査をもとに約30万人と推計しました。
道路交通法の改正により2002年6月から、「認知症であることが判明したとき」は所轄の公安委員会が運転免許証を取り消すことができるようになっています。
車の運転には、ハンドルやブレーキ操作といった運動能力だけではなく、とっさの判断力、ほかの車や歩行者・自転車などの存在を把握する認知力、交通ルールや道順などの記憶力、視力、聴力などさまざまな能力を使います。これらの能力は、認知症でなくても、高齢になるほど低下し、若い頃と同じようには運転できなくなります。そのため、高齢運転者は交通事故を起こしやすく、そこに認知症が加わると、危険度はさらに高まります。
認知症の現状
65歳以上の7人に1人は認知症と言われており、年齢とともに認知症の割合は増加し、特に女性の比率が高いことはあまり知られていません。
日本人に多い認知症のタイプは、アルツハイマー型、血管性、レビー小体型、前頭側頭型の4タイプ。
認知症のうちもっとも多いのはアルツハイマー型で約半数。次いで血管性が20~30%程度、レビー小体型が10%程度。
認知症は高齢者になればだれでもかかる可能性のある、ありふれた病気です。
認知症は早期に発見して治療やケアをすれば、決して怖い病気ではありません。
(浦上克哉著「認知症は怖くない18のワケ」JAFMATE社 より)
こんな運転が増えたら要注意
以前はなかったのに、このような運転がたびたび起こるようであれば、認知症あるいは何らかの病気の可能性があります。
操作ミス
- 車庫入れがうまくできなくなったり、斜めに止まるようになった
- 自動車をよくこすったり、ぶつけるようになった
- 前進とバックのギア操作を間違えて壁などにぶつかった
- ウインカーの操作で左右を間違えるようになった
- 記憶力や注意力の低下
- 自動車などのカギの置き場所をよく忘れるようになった
- 近所の通り慣れた道を、よく間違えるようになった
- よく行く目的地までのルートを思い出せなくなった
- 近くの外出先へ車で出かけたことを忘れて歩いて帰って来た。
- セルフ式のガソリンスタンドで給油口のキャップをよく閉め忘れる
危険な運転
- 極端に低速で走るようになり、後続車から注意されても気にしない
- 右に寄ったり左に寄ったりして、道路の中央を走れなくなった
- 車間距離がつかみづらくなった
- 赤信号を無視して通行することがある
- 交通ルールを守ろうとしなくなった
- 歩行者や右折時の対向車をよく見落とすようになった
- 進路変更やカーブ手前の減速ができず、運転が乱暴になった
その他
- ワイパーやライトなどのスイッチの使い方がわからなくなった
- 同乗者との会話をしながらの運転ができなくなった
- 運転中にささいなことで激しく怒るようになった
- 運転中、自分がどこにいるのか、どこに向かっているのか突然わからなくなる
(浦上克哉著「認知症は怖くない18のワケ」JAFMATE社 より)