日本認知症予防学会学術集会  研究発表

    第6回 日本認知症予防学会学術集会で研究発表を行いました

      当研究会理事の浦上克哉鳥取大学医学部教授が理事長を務める「日本認知症予防学会」の第6回学術集会が、9月23日~25日に宮城県仙台市の東北大学川内萩ホール・川内北キャンパスで開催されました。一般演題発表では「認知症と運転」のタイトルのセッションにおいて、当研究会及び会員から4題の研究発表が行われました。

      発表の概要

      「高齢者の電動アシスト自転車利用実態に関する基礎研究」
      東京工業大学 環境・社会理工学院 助教 鈴木美緒氏

      シニア世代が自動車の運転をやめると、移動手段として最も多く利用されているのが自転車。近年の電動アシスト自転車の普及は、シニア世代にとっても大変乗りやすく楽な移動手段として高齢者の利用を促進することとなっています。しかしその乗りやすさの一方で、電動アシスト自転車を利用する高齢者の交通死亡事故の割合が増加傾向にあります。高齢者の電動アシストの利用実態から問題点を調査し、高齢者の移動の可能性を広げてくれる電動アシスト自転車を安全に活用するための課題が提起されました。

      <発表資料は後日公開の予定です>

      「高齢ドライバーを対象としたMCI早期発見のための取り組み」
      八尾自動車教習所 浅田克子氏

      大阪府八尾自動車教習所で実施された高齢者向け安全運転講習会等において、参加者へMSP(認知症スクリーニングテスト:物忘れ相談プログラム)を利用して参加者の認知機能と運転との相互関係についての調査結果が紹介されました。認知機能が低下したことが疑われる運転者では一時停止や右折時の運転行動に不備が確認され、教官からの助言に対しても注意力が向上しにくいなどの問題点が紹介されました。MSPスクリーニングによる低得点(MCI)者の安全運転への課題や、自動車教習所におけるMCI早期発見の可能性が提起されました。

      <発表資料は後日公開の予定です>

      「自動車教習所に於ける0高齢運転者への取組」
      NPO法人 高齢者安全運転支援研究会事務局 平塚雅之

      春の改正道路交通法施行により、75歳以上の高齢運転者の認知機能低下に対してこれまでより厳しい対応となります。その制度改正の対象となっている高齢運転者に向けて自動車教習所が独自に実践している取り組みが紹介されました。末永く運転を続けるために高齢の方々に安全運転への意識を高めてもらうことを目的として、気づかないうちに進んでしまう視覚能力低下の紹介や、MSPを利用した認知機能の自分自身での把握、左右確認やペダル操作の確実性を捕捉する装置を利用した実際の運転行動への助言などの取り組みが紹介されました。

      <発表資料は後日公開の予定です>

      「運転時認知障害早期判定システム」構築のための基礎研究
      NPO法人 高齢者安全運転支援研究会事務局 中村拓司

      現状では認知症がどのように運転に影響するかが明らかになっていませんが、「運転を取り上げる」方向性の施策が進行してしまっていること、更に運転自体が認知症予防となる可能性が考えられる中、段階的に発現する認知障害が及ぼす運転への現象を解明し、運転能力を段階的に評価する「運転時認知障害」判定の仕組みづくりの必要性が指摘された。その判定手法の確立に向けた、認知機能の低下を自覚した方やMCIの方を対象として、運転に対する本人の意識変化や実際の運転行動の調査の取り組みが紹介されました。

      <発表資料は後日公開の予定です>

      認知症と都市高速利用の課題
      NPO法人 高齢者安全運転支援研究会事務局 並木靖幸

      高齢運転者による高速道路の逆走が増加する中、歩行者や自転車による首都高速への「立入件数」も増加傾向にあり、65歳以上の高齢者の割合も多く、認知症が疑われる件数も全体の23%に及んでいる。今後、ますます高齢化が進み、認知症人口の増加が予測されることからも、首都高等の高速道路出入口からの認知症徘徊者等による誤進入防止対策の必要性が求められます。現状での立入りや誤進入・逆走の実態の把握を目的として、立入りや逆走・誤進入の実体験や目撃についてのアンケート調査の取り組みが紹介されました。

      <発表資料は後日公開の予定です>