日本認知症予防学会学術集会 2014年9月27日

    日本認知症予防学会学術集会で論文発表を行いました

      「日本認知症予防学会」(理事長:当研究会理事浦上克哉鳥取大学医学部教授)の第4回学術集会が、9月26日~28日に東京都江戸川区タワーホール船堀で開催されました。学術集会では自動車運転と認知症の関連性をテーマとしたセッションが新設され、当研究会及び会員から3題の研究発表を行いました。認知障害による運転状況の変化や、認知症早期発見の場として高齢者の安全運転講習会の活用、高齢運転者の免許証返納への意識、教習所教官と認知症予防学会との連携などを提起しました。高齢者本人が認知症に対して早い段階から意識を持ってもらうために自動車運転の現場を活用するこのの有効性について、学術総会への参加者である医療・介護に携わる方々に強く実感していただきました。

      発表の概要

      「認知障害による運転状況の変化」
      JAFMATE編集長 鳥塚俊洋氏
      torituka2014gakkai何らかの認知障害を持つ人の、具体的な運転状況や従来からの変化等のアンケート調査、またドライブレコーダー画像の調査等から交通社会における認知症ドライバーの現状が報告されました。高齢ドライバーの運転に対する自意識は、多くの方々が運転に対して自信を持ち、周囲からの助言には賛同しにくい傾向が顕著であることが紹介されました。また、それらの意識に伴う認知症患者の免許証返納の実態、免許更新の制度面での課題、認知症ドライバーの法的な責任の所在、免許証返納後の生活をどの様に担保するか等、対応する社会システムの必要性等が提起されました。
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      「地域における高齢運転者への取り組みと自動車教習所の役割」
      八尾自動車教習所 浅田克子氏
      asada2014gakkai大阪八尾教習所で実施された高齢者向け安全運転講習において、参加者へMSP(認知症スクリーニングテスト:物忘れ相談プログラム)を利用して参加者の認知症の状態と運転の状況との相互関係を把握する取り組みが紹介されました。この取り組みでは、早い段階で高齢者自身が自分の状態を知ることにより、運転を続ける際にはどのようなことに気をつけるべきか、また運転を諦め運転免許を返納するべきか、高齢者が自分の運転について落ち着いて考える機会となりうる可能性が紹介されました。
      この発表は優秀な研究に贈られる「浦上賞」を受賞しました。
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      「認知症起因の高齢運転者事故削減を目指す」
      NPO法人 高齢者安全運転支援研究会 中村拓司
      nakamura2014gakkai高齢運転者の事故の現状、車線逆走の実態と認知症との関係、高齢運転者に対する免許行政の現状と課題、高齢者の運転に対する高い自信を示す調査結果等が紹介されました。また、教習所におけるMSP(認知症スクリーニングテスト:物忘れ相談プログラム)活用の有効性、導入に際しての政府の補助金制度の発足等により、認知症早期発見の場としての教習所の将来性が紹介されました。更に高齢者運転講習においてより精度の高い助言や指導を実現させるために、教習所教官と認知症予防学会との連携の有効性が提起されました。
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